僕は4・5章を担当、ゆりえさんは2章です。味わってみてはいかが?
何とかタイピングしました!! 時間がかかってしまいましたが、どうぞお楽しみください!!
「静香ー! この新聞の記事見たー?」実は大きな声を出しながら走ってきた。
「見たに決まってるじゃないの。本当ショックだわー。」静香が答える。
その記事には、殺人事件のことが記されていた。この殺人事件がきっかけで、1人の命がねらわれていることは、まだ誰も気づいていないようだ。
第1章
「ねぇ、お兄ちゃん。私の大好きだった歌手、殺されちゃったんだって。」静香は今朝学校で盛り上がってしゃべっていたことを兄に話した。
「へぇー。それって、邪井 安って人だっけ。殺されちゃったんだ。で、犯人は?」兄の信太が言う。
「それがね、見つからないんですって。それより、殺され方だひどいのよ。全裸で、髪の毛はバッサリと切られてて、一番不思議なのは、安の周りには、トランプだらけになっていたんですって。」
「トランプ……。それは、何のマークだったかわかるか?」
「うーんと、確か、ジョーカーだったかしらねぇ?」
「ふーん……。おそらく、安は、殺される前にトランプをやっていたんだろう。つまり、全裸だったり、髪の毛を切られていたのは、罰ゲームでやったかもしれないよ。」信太は言った。
「じゃあ、トランプを一緒にやっていた人が犯人ってこと?」静香はその言葉を最後に、ゆらゆらと自分の部屋へと去ってしまった。
「やれやれ。でも、この事件、おもしろそうじゃないか。」信太は一人にやついていた。
俺の名前は乃日 信太。俺は、17歳にして、名探偵って言われているんだ。今は、妹の静香と、母さん、父さん一緒に暮らしてる。そして、俺の親友で、探偵としての相棒が、銅羅 恵門っていうんだ。こいつには、いつも助けてもらってるし、尊敬するやつでもある。
第2章
「おーい、恵門。いるんだろー?」
俺は恵門の家のドアを叩いた。インターホンがこわれている。
「信太さん?」
中から出てきたのは恵門の妹、美衣だった。
「あ、美衣ちゃん。恵門はいるかい?」
彼女はうなずいて恵門を呼びにいった。
「お兄ちゃーん! 信太さんよー?」
「信太くん! あがって!!」
俺は迷わず上がった。そして恵門の部屋へ入った。
「今日は、どうしたの?」
恵門はソファーに寝ている。
「どうしたって……。人気歌手の邪井 安を殺した犯人が見つからないらしいんだけど。」
恵門はふーん。と言い新聞を見る。
「あぁ、これか。」
すると美衣が入ってきた。
「私、元メンバーの酢根 音と同級生よ。」
元メンバーって。解散していたのか。その後はソロ活動でもしていたのか。
「その、酢根君は今何をしているかわかるかい?」
彼女は少し考えていたがすぐに思いついたようだ。
「そーねぇ。音は野球部だから今、部活中じゃないかしら? そうそう、彼は去年……15のとき芸能活動をやめてからすぐ高校に入っていたわ。邪井 安より5つくらい年下みたいだけど……。」
美衣ちゃんは今16歳だから酢根君も16歳か。
「彼に会って話を聞いてみよう。」
恵門はそう言うと着替え始めた。
「ちょっと、お兄ちゃんっ!! 私の前で着替えないでよッ!!」
恵門は気にしてないようだが、美衣ちゃんは信じられない! と言わんばかりに部屋を出て行った。
「じゃあ、東高校に行くか。」
第3章
酢根 音がいるという東高校に着くと、グラウンドの方から大歓声が聞こえてきた。
「どうやら野球部が練習しているようだ、行ってみよう。」……
二人がグラウンドに着くと、たくさんの人だかりができていた。「音君カッコイイ〜!」「きゃーっ!!音君こっち向いてー!」……
どうやらそれは全部、酢根 音と思われる人物が立っていた。身長が高く、細身でスラッとしている。それに、整いすぎているとも思えるぐらいの顔立ち。女子たちが魅了されるのも分かる気がする。
信太は、酢根 音と思われる人物に近づいて質問した。
「酢根 音さんですね? 先日殺された邪井 安さんについて聞きたい事があるんですけど。」
すると、酢根 音は睨みつけるようにしてこう言った。
「お前らに教えることなんて何もないね。」
きっぱりと言われ信太はひるんでしまった。
「犯人を突き止めるために情報が必要なんだ。何か知っている事があったら教えてくれないか?」
恵門が助け船を出すようにそう言った。
「何か教えてくれるまで帰らないからな。」
信太も負けずに言い返した。
すると、酢根 音はあきらめ顔になり、溜息まじりでこう答えた。
「殺される前夜に、オレはあいつと会ってたよ。」
「本当か!?」
「ああ、だがオレ1人だけじゃないぜ、元メンバーの出貴 杉と星 倭史も一緒だった。久しぶりにゲームしてたんだよ。トランプで。」
「トランプ!?」
恵門は、邪井 安が殺されていたのと一緒にジョーカーのトランプが置かれていたのを思い出した。
「死体は、全裸でさらに髪を切られていたんだ。罰ゲームとかはあったのか?」
恵門はさらに質問をした。
「さあな、オレは次の日、大事な野球の試合だったから、さっさと帰ったよ。」
「そうか……。」
「さぁ、もういいだろ! こっちはお前らに付き合ってられるほど暇じゃないんだ。邪魔だからさっさと帰れ!!」
酢根 音はものすごい剣幕でこう言い放った。
恵門と信太は、これ以上は無理だと思い、すぐに東高校から立ち去った……。
恵門の家に戻ると美衣が夕食の準備をしていた。
「お兄ちゃんどうだった?」
美衣は心配そうに言った。
「ああ、いい情報が手に入ったよ。」
「性格は最悪だったけどな。」
信太が少し疲れぎみに言った。
「信太さん、今日は遅いからウチに泊まっていったら? 静香さんには私から言っておくから。」
「ああ、そうさせてもらうよ。
そう言うとすぐに信太はソファーの上で寝てしまった。……
次の日、信太と恵門は、酢根 音に聞いたことを話し合った。
「やっぱり怪しいのは、他に一緒にいた元メンバーの出貴 杉と星 倭史か。」
恵門がそう言うと、信太が提案した。
「話を聞きに行くべきだろ。」
「だが、その2人がどこにいるのか……。」
すると、ものすごい勢いで美衣が階段を駆け降りてきた。
「なんだ美衣、騒々しい。」
「そんな事言ってる場合じゃないわ、お兄ちゃん!! 急いでテレビをつけて!」
そう言われてテレビをつけた2人は驚愕した。
「なんで……どうしてこんなことに……。」
2人は信じられないという目をしている。
テレビからはその事件の内容が流れていた。
「……こちら現場です。今朝、○○町で死体が見つかりました。検証の結果、元有名歌手グループの1人である酢根 音さん16歳であることが分かりました。酢根さんは、全裸にされ、さらに髪をすべて切られていました。そして一番の謎が周りには散りばめられた無数のジョーカーのトランプ。これらは、先日殺されたグループの邪井 安さんとまったく同じ殺され方で、同一犯の可能性が高いと思われます。……」
信太は混乱していた。
「一体誰が何のためにこんなことを!」
「口封じのためだろう、くそっ!」
恵門は、怒りを隠せなかった。
「これ以上、死人を出させるもんか、絶対に!!」
第4章
「元メンバーの出貴か星がこの事件の犯人と考えていいかな。どうやら3人は前夜、一緒に過ごしていたんだと思う。どうかな、恵門」
恵門は怒っているようだが、確認の為に聞いてみた。恵門は深呼吸を一つして、
「そうだね。きっとトランプをしていたんだと思う。音が罰ゲームをうけたんだろう」
互いの意見が一致していることを確認した。
「昨日、3人がどこにいたか調べないと……。恵門、美衣ちゃんと一緒に東高校に行こう」
「そうだね。時間的にも今日までだ。急ごう! お〜い、美衣、東高校に行くぞ〜」
恵門が奥にいる美衣ちゃんを呼ぶと、すぐ玄関に行き、靴をはいた。ねぇ、恵門、前から思ってたんだけど……。
「ねぇ恵門、美衣ちゃんん事、考えてあげようよ……」
「時間がないんだ。急ごう!」
奥から美衣ちゃんが、支度途中のまま出てきた。
「お兄ちゃん! こっちにも準備があるの! 待ってて」
ハァ……と恵門は溜息をついた。……なぜ?
ほとんど走りっぱなしの俺たちは、息を切らしながら東高校に着いた。しかし、昨日のように、グラウンドには活気がなく、やはり音に対するショックが大きかったのだろう。
「とりあえず、中に入って話を聞こう」
俺たちは活気のないグラウンドを通り、構内へと入っていった。
廊下も、階段も静かだった。だから俺たちも、静かに音のクラスに近づいた。
「酢根 音さんのクラスですね? 僕は銅羅 恵門。酢根さんや元メンバーのことについて知ってる人は教えて欲しいんだ」
クラスの目つきが変わる。
「お前らに教えることなんてねーよ! こっちは、音が殺されて悔しいんだ……」
クラスは更に静まり返る。みんなの気持ちは分かるけど……。
「音さんが殺されて悔しい気持ちは分かるわ。でも、これ以上皆に辛い思いをさせたくないの。だから、何か知ってたら教えて」
美衣ちゃんが冷静にそう言った。同級生だったもんね。
クラスの沈黙を解いたのは、後ろの方にいる、不良っぽい男子だった。
「……酢根 音は近くの廃工場でトランプをやってたらしい」
『トランプ!?』
間違いない。犯人は2人のうちの1人だ。
「あぁ。しかも、ここ何回かそこに集まっていたらしい。多分今日もいるんじゃないか?」
『本当かっ!?』
俺たちは2回も声をそろえた。それより、
「それ、本当かい?」
「俺たちは、音が殺されて悔しいんだ。うそはつかない。つくはずがない。お前たち、探偵だろ? がんばって犯人を探し出してくれ」
恵門の質問に対して、不良っぽい少年は笑顔で答えた。クラスの皆もうなずく。
俺たちの決心はついた。
「分かった。廃工場に行ってくる。絶対に犯人を探し当てる!」
俺はそう言って、音のクラスを後にした。
第5章
廃工場は港から一番遠い、文字通り人がいない所にあった。
ちなみに、美衣ちゃんは恵門の家で待たせることにした。美衣ちゃんを危険な目にあわせる訳にもいかないと思ったからだ。
「恵門。いいかい? 開けるよ」
「大丈夫。伸太、行こう」
『せーのっ!!』
ゴロゴロゴロ……と低い音で重い扉が開いた。明かりが点いてないせいか、中は真っ暗だった。
日の光が工場の中に入り、1人のシルエットが浮かび上がる。その人物はおそらく……
「その場から動くな! 出貴か星だろ!」
俺と恵門はどんどん中に入る。相対的に、中の誰かが近づいてくる。そいつは入り口のあたりまでくると、そいつが誰だか分かった。
その人物は……
「星 倭史だな。お前の歌手グループの元メンバーが殺されていく事件を知ってるな? 俺たちはお前がこの事件に一枚かんでいるとにらんだ。話を聞かせてもらおうか」
星はニヤリと笑い、
「確かに、その事件については関わっている。しかし、簡単に教える訳にもいかない。そうだな……トランプで勝ったら教えてもいいかな」
恵門は今の一言で怒りの頂点に達したようだ。
「これは遊びじゃないんだ! こっちはそんなことに」
「恵門!! これは一応チャンスなんだ。受けて立とうよ」
そう言って恵門をおさえ、工場の奥にある机についた。
「一対一のババ抜きだ。負けたほうが……罰ゲームを受ける。これでいいな?」
「伸太、頑張って」
カードが配られる。ペアのカードを机の中央に捨てる。互いの枚数は同じくらい。
相手からカードを引くたび、必ずペアができる。しかし、それは最終決戦への階段のような物で、鼓動が高鳴る。恵門は、表情を曇らせる。反対に、星はニヤリと笑っている。
カードは徐々に減り、ついに星が2枚、俺は1枚の最終決戦になった。俺が持っているのはスペードのA。星はジョーカーとAを持っているはず。Aを取った方の勝ち。室内は無言。
俺は左のカードを抜き取る。道化師の絵が描かれていた。ジョーカー。背中でカードを混ぜ、星に差し出す。
星が取ったのは右。ゲームは続く。星は反則行為を犯してないようだ。これは長くなりそうだ。
沈黙の工場でこれが何度か繰り返す。互いに反則行為はしていない。まさに真剣勝負。
互いに息が荒くなる。やつれてきた。そろそろ決めなければ……。
星から右のカードを取る。もう迷いはない。
抜き取る。
中央にハートが1つ。
勝った。
最後のペアを捨て、星に問いつめる。
「さぁ、話してもらおうか」
しばらくの間、星は黙っていた。が、
「どうせこのままかくしてても、いつかはバレるんだろうな。分かった。これを見てくれ」
そう言うと、星は奥の方の箱を持ってきて、中身を見せてくれた。中には出貴 杉の死体。全裸で髪が切られていた。
「お前が犯人か」
恵門が問いだす。
「あぁ。しかし、正確にはメンバー全員だ」
星はその後、潔く話してくれ、まとめると、グループでの売り上げが徐々に下がり、これは誰が原因か争うものだったらしい。それを決めるのはトランプ。負けた者が殺される。全裸で、髪を刈られ、ジョーカーと共に。
その後、星は自ら出頭、工場は解体の予定。
帰り道、恵門は静かに、しかし訴えかけるように言った。
「人間って……あわれだね」
「……そうかもね」
自分も人間だから、何とも言えなかったが、なんとなくそう答えた。
END
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